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オフィスの引越し費用は経費計上可能か。勘定科目について紹介

オフィス移転にはさまざまな経費がかかります。それらの経費をひとつひとつ正確に処理しなければなりません。それらにかかる経費については、基本的に雑費として計上できます。ただしそれ以外で処理しなければいけない場合もあるので注意も必要です。本記事では、旧オフィス、新オフィスに分けて会計処理の方法を解説します。

オフィス移転にかかわる会計処理方法【新オフィス編】

オフィス移転にかかる経費はどのように処理をすれば良いのでしょうか。ここでは、オフィス移転にかかわる会計処理方法について、新オフィスにかかわる項目を解説します。

新オフィスの敷金

新オフィスを借りるときに敷金として支払い、契約終了時に返還される金額は「差入保証金」として資産に計上します。オフィス物件の場合、敷金は6ヶ月〜1年分が相場です。敷金償却などで返還されないことが契約時に分かっている敷金は繰延資産となり、費用として計上することができます。

ただし、支出額が20万円未満なら、全額を「長期前払費用」に計上できます。

一方、敷金が20万円より多い場合は、償却と同様に一定期間で平均した金額を「長期前払費用」として計上し、残金は差入保証金に計上します。

このように、金額や契約終了時にどうなるかによって処理方法が変わってくるため、契約前に確認が必要です。

新オフィスの礼金

敷金は、契約終了時の扱いによって処理する科目が違っていました。しかし、礼金は一般的には返金されないことから、ほぼ経費として計上することができます。

礼金が20万円未満の場合、「地代家賃」の科目で仕訳すると良いでしょう。一方で、20万円より多い場合は「長期前払費用」として仕訳します。

新オフィスの仲介手数料

新オフィス契約時に不動産会社に支払う仲介手数料も費用として計上することができます。その場合は、「支払手数料」もしくは「雑費」として計上するのが一般的です。どちらを選ぶのかはこれまでの経理処理の考え方に沿って選びましょう。

支払手数料の場合は、仲介手数料の「手数料」の部分を重視するイメージ、「雑費」の場合は、頻繁に発生する費用ではないその他の費用としてのイメージを認識しておくと良いでしょう。自社の経理の方針に合わせて選ぶことをおすすめします。

新オフィスの内装費用

新オフィスの内装に関する費用の会計処理は、まず勘定項目の仕訳が必要です。

勘定項目は以下の4つです。

  • 建物
  • 建物付属設備
  • 諸経費
  • 備品

このうち、経費以外の項目は、耐用年数をもとに減価償却します。

「建物」に該当するのは、ガラス工事や防水工事といった建物の一部を構成する内装工事です。「建物付属設備」は、建物を使用するうえで必要な電気設備、ガス設備、給排水設備、空調設備などが該当します。パーテーションやエアカーテンなどもここに仕訳します。

工事にかかわる人件費や官公庁への手続き等は「諸経費」として計上しましょう。

業務上必要となるオフィス家具や複合機、PCなどで20万以上のものは「備品」として計上します。一方、20万未満である場合は「一括償却資産」か「消耗品費」のいずれかに仕訳します。

減価償却や資産に関する経理処理は複雑なため、資本金や自社の経理の方法などを見直しながら選択しましょう。

新オフィスでの機器類の再設置費用

オフィスの内装

オフィス移転では、PCやサーバーなどの移設が必要です。移転にかかる作業を社内で行えばコストを抑えられます。とはいえ、専門知識が必要になるサーバー移設は、業者へ依頼するケースが多いのではないでしょうか。

業者に再設置を依頼する場合、設置のみを行うのであれば基本的に「修繕費」として経費(損金)に計上します。

ただし、以下の場合は資本的支出として処理する必要があります。

  • 集中生産やより良い立地条件での生産を目的として、他の事業場に機械装置を移設する場合
  • 多額の据付費を要する機械装置を移設した場合

新オフィスの火災保険料

火災保険料は「損害保険料」の科目で経費として計上できます。地震保険にも加入した場合も、まとめて「損害保険料」として計上可能です。

ただし、2年以上の長期にわたる契約の場合は、期間按分して当年分を「損害保険料」、次年度以降分を「長期前払費用」とすることが求められます。忘れないように処理しましょう。

住所移転の登記にかかる費用

法人がオフィスを移転する際、本店であれば住所変更から2週間以内、支店の場合は3週間以内に、それぞれを管轄する法務局で法人登記を変更することが必要です。法人登記にかかる印紙代(登録免許税)も経費になります。費用の勘定科目は「租税公課」を使用します。

法人だけでなく、個人事業主でも商号登記を行っている場合には、オフィス移転にともない営業所の変更登記が必要です。登記を行っていない個人の場合には、登記関連の手続きは不要となります。

なお、登記変更を司法書士などに依頼することもあるでしょう。その際にかかる専門家への報酬の勘定科目は「支払手数料」や「顧問料」などになります。

オフィス移転にかかわる会計処理方法【旧オフィス・その他編】

ここまでで、オフィス移転にかかる新オフィスに関する会計処理について紹介しました。ここからは、旧オフィスやそのほか必要な項目について解説します。

引越し費用

引越し業者に支払う引越し費用そのものは「雑費」や「支払手数料」として処理することができます。雑費として計上する場合は、備考欄に「引越し費用」と記載しておくなど、後で見直したときに何の費用かが分かるようにしておくと良いでしょう。

そのほか、段ボール箱や梱包資材などの荷造りにかかった費用は「荷造運賃」として仕訳することもできます。

旧オフィスの原状回復費用

原状回復

賃貸物件から引っ越す場合に必要な原状回復についても、経費として計上できます。たとえば、入居前の状態に戻すために必要な内装工事などは「修繕費」として計上可能です。

また、旧オフィスの敷金で返還されなかった分も「修繕費」として経費に計上できます。敷金は基本的に貸主が行うクリーニングや原状回復に使われるため、修繕費にするのが妥当です。

廃棄処理費用

新オフィスでは使用しない家具などを廃棄する場合、廃棄処分にかかる費用は「雑費」として計上できます。

ただし、固定資産になっているものは「固定資産除却損」に仕訳します。固定資産を廃棄する場合は、廃棄した証拠を残しておくことが大切です。証拠にあたる資料は、「廃棄証明書」「廃棄した固定資産の写真」などがあります。

社内で廃棄する場合には、「固定資産の廃棄報告書」を作成しましょう。「廃棄する固定資産の名前、数量、廃棄理由」などを記載しておきます。この場合は、廃棄証明書の発行も必要なので、覚えておきましょう。

移転案内費用

取引先や顧客に移転に関する案内を送る場合、案内状の送料や印刷費は「広告宣伝費」として会計処理を行います。不特定多数ではなく、送る相手を限定している場合は「通信費」も使用可能です。

オフィス移転時に必要な税務上の手続き

オフィス移転で変更になる住所についても、税務署への届出が必要です。

法人の場合は「異動事項に関する届出」を、移転前の納税地を管轄する税務署に提出します。提出は郵送・持参のほか、e-Taxでも可能です。添付書類は不要ですが、定款の写しを確認されることがあります。

個人の場合は、オフィスのみの移転か自宅の移転をともなうかで提出書類が異なります。

オフィス移転では、事業所の住所が変わるため、納税地を所轄する税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。自宅兼事務所の場合には、納税地も変わるため、「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」を移転前の納税地を管轄する税務署に提出します。提出は郵送または持参で行います。

個人事業主は引越し費用を経費にできる?

会計

引越し費用の扱いは法人と個人で違いはなく、個人事業主であってもオフィスの引越し費用を経費にできます。基本的に事業にかかる費用であれば全額経費に該当します。事業用にオフィスを契約して事業用途のみに使用しているのであれば、引越し費用の全額を経費計上することが可能です。

ただし、事業とは直接関係のない美術作品など個人的な趣味に関するものにかかる移転費用は、経費とは認められない可能性が高いです。特に、後述する自宅兼事務所の場合は、経費として認められない部分も出てくるので注意しましょう。

オフィス移転の会計処理で注意したいポイント

ここまでで新旧オフィスの経理処理の方法について紹介しました。ここでは、オフィス移転の会計処理で注意したいポイントについて解説します。

自宅兼事務所の家事按分

オフィスが自宅兼事務所の場合、引越し費用の全額を計上することができません。家事按分という処理をして、事務所としてかかった分のみを計上することができます。家事按分を考える場合は、床面積や荷物の割合に合わせると良いでしょう。

床面積を基準にする場合、事業に使用している面積の割合が全体の30%であれば、引越し代も30%相当分を経費化します。

例えば、床面積100m²のうち事業で使用する床面積が40m²で、かかった引越し費用が50万円の場合には、50万円×0.4で20万円を経費として計上することが可能です。

家賃を使用面積で按分している場合と同じ考え方です。現在面積で按分している場合には、その割合を参考にすると良いでしょう。

荷物の割合で按分する場合には、事業に使用する荷物の段ボールの個数と全体の個数で割合を算出します。そのほか、自宅使用分と事務所使用分を別々に運んで費用を計算する方法も可能です。

荷物の割合で按分する場合には、事業に使用する荷物の段ボールの個数を用いて、全体に対する割合を算出すると分かりやすいでしょう。

なお、経費計上できない部分については、「事業主貸」の勘定科目で処理します。

仕訳をする勘定科目

勘定科目自体はどれを使っても良いですが、あとで見直しやすいように次回も同じ科目で仕訳をすることが大前提です。過去に移転をしたことがある場合も、同じ科目で会計処理をする必要があります。過去のものを見比べながら処理をしましょう。

まとめ

今回は、オフィス移転に伴う会計処理の方法と注意点を紹介しました。経理処理にはさまざまな細かい決まりや規則がありますので、処理をする際にはひとつひとつ注意しながら処理をする必要があります。

経理処理方法なども含め、オフィス移転に関するご相談は、オフィス移転専門のスター引越しセンターにお任せください。オフィス引越し向けに、「移転作業のみ」、「移転作業+配線」、「移転作業+配線+レイアウト」など、複雑な配線やレイアウトについての相談も承っています。

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