こんにちは、デザイン担当のタルマです。
今回は引越業界でデザインという仕事を始めていろんな事例を見ていたときに思っていたことを書いてみます。
もちろんこれは日本で引越し業界に限ったことではないのかもしれませんが標題にもあるように「キャラクター」の存在についてです。
特に引越業界では、会社のイメージとしてトラックに何らかのキャラクターをプリントしている会社が多いなぁと、思っていました。
ちなみにスター引越センターにもスターマンというキャラクターがいます。
世の中では動物のキャラクターが多い中で、アメコミヒーローをモチーフとした少し斬新なキャラクターかもしれませんね笑
現在ではトラックに当然のように描かれるキャラクターですが、なぜ使われるようになったのでしょうか。
この記事の内容
運送業界でキャラクターを使い始めたのはいつ頃なのか
運送業界で古くから活躍されているのはもちろんヤマト運輸さんや、佐川急便さん、日通さん、とみなさんがよくご存知の会社さんですけど、キャラクターといえばヤマト運輸さんの「クロネコ」、佐川さんの「飛脚」が有名ですね。
運送業者としてキャラクターを採用したのもおそらくこの二社が初期のようなので、少し背景を調べてみました。
クロネコのキャラクターの原案は「子供の描いた絵」だった
現在では広く知られる「クロネコ」のマークですが、考えてみると「かわいい」というイメージや「親近感」というイメージを持たせようと考案されたものには僕の目からは見えませんでした。
このマークがどうやってできたものなのだろうかと気になり、調べて見たところ最近このマークの原案が公開されていたようです。
その絵がこちらです。
(出典:http://livedoor.blogimg.jp/mohumohuch/imgs/0/4/047c23a3.jpg)
この絵は当時の社員の息子さんが描いたもののようです。
ヤマト運輸さんは創業が1919年で、クロネコのマークを使い始めたのが1957年とされています。
しかし、なぜこの絵から会社の公式マークに採用するに至ったのでしょうか。公式サイトでは次のように書かれています。
ヤマトグループの「クロネコマーク」。実は1957年に業務提携した米国の運送会社アライド・ヴァン・ラインズ社の「親子猫マーク」がヒントになっています。
母親が優しく子猫をくわえて運んでいる同社のマークを見た当時の社長小倉康臣が、運送業社の心構えを適切に表現していると強く共感したのがきっかけでした。
デザインは、当時の広報担当者の子どもが落書きした「猫の絵」をヒントにしたと言われています。
このキャラクターはイメージ戦略として採用されたというよりも親猫が子猫を運ぶ時のように大切に運ぼうという「心構え」だったんですね。
多くの人が見逃してしまっているかもしれませんが、確かに必ず親子で猫がいつも描かれています。
なんかものすごく納得してしまいました。
「飛脚マーク」も創業者の手書き
最近長く親しまれたマークであった「飛脚マーク」のデザインを変更した佐川急便さんですが、なんとこのマークも創業者自ら書き上げた「飛脚の精神」を象徴したイラストなのだそうです。
©Sagawa Express Co.,Ltd
このマークですね。
一時期は「飛脚マークのトラックに触ると幸せになる」という都市伝説まで生み出し多くの人から愛されたマークです。
創業50周年を期にそのマークは現代的なデザインへと変更され、現在は使われていません。
使われ始めた時期は不明ですが、創業は1957年でヤマト運輸さんのクロネコマークが使われ始めた時期とほぼ同時期です。
そこに何か関連があるかはわかりませんが、おそらく意識はしていたのではないでしょうか。
キャラクターの生み出す効果
キャラクターを使うことにはどのような効果があるのでしょうか。
現在では様々な企業や自治体までもがキャラクターを作り出しています。
もちろんそれは流行りということもありますがイメージ戦略として絶大な効果を発揮している例があることも事実です。
「飛脚マークのトラックに触ると幸せになる」という噂が生まれるのもその例の一つかもしれませんが、戦略としては確かな効果があると思います。
見た人の記憶を補助する
引越し会社のメディアでこのような話をするのもどうなんだろう?思いつつ書いてみるのですが。笑
企業がたくさんのお客さんに対して名前を覚えてもらおうと考えた時に、単純に名前という文字列を覚えてもらうのはとても難しいことです。
キャラクターやロゴマークなどでは馴染みのあるイメージを想起させるイラストや、独特な形の文字を作ったりします。その目的は、名前を覚えてもらう以前に一目見た瞬間に「イメージ」を頭に残すことです。
名前を覚えるよりも「○○マークの〜」と覚える方がずっと簡単なんですね。当然といえば当然ですが絵と一緒に覚える方が圧倒的に記憶に残りやすいのです。
引越会社の走る広告塔であるトラックは道路で見かけた一瞬でイメージを残さなければいけませんから、この手段は有効であるといえます。
では、こうして人々の記憶に残った記憶がどのように機能するか。
人間は「見覚えの無い選択肢よりも、見覚えのある選択肢を選びやすい」という傾向があります。
そのため、その選択肢が優れているかには関係なく選択をする可能性が高くなるというのです。
動物の動きをみんなが知っている
引越し屋さんのキャラクターに動物が多いのにもイメージとして記憶に残りやすいことももちろんですが、その動物がどんな特徴で動きをするのかを知っているということが結構重要なんだと思います。
たとえば(具体的な動物名は避けますが・・・)
「この動物はすごく足が早い」
「この動物はすごく働き者」
「この動物はすごく力持ち」
「この動物は強い!」など、
実際の動物の特徴をよく知っていたり、他でもキャラクターとしてイメージの浸透しているものをモチーフにキャラクターを採用することで、イラストとしてのイメージと動的なイメージをつくり出すんですね。
たとえ着ぐるみだとしても「人間扱い」ではなくなる
この場合の「人間扱いではなくなる」というのは悪い意味ではありません。
よくいろんなイベントでも目にする光景ですが、着ぐるみのキャラクターに子供が群がったり、ケツを蹴ったり、中身の性別は関係なく女性のボディタッチが気軽になったりと・・・。
普通の人間に対しては絶対に起きない現象が起きてしまいます。
だからと言って中に人が入っていることを知らない人なんていないと思いますが、人間とはこんなにも単純なことで距離感を縮めてしまうんですね。
ちなみに僕は子供のころ、着ぐるみの笑顔が怖くて近づけなかったという思い出もありますけどね・・・。
まとめ
スター引越しセンターにも「スターマン」がおりますが、上の写真でもわかるように、トラックとしてはとてもインパクトがありますよね笑
これだけ多くのトラックにキャラクターが使われている背景には少なからず流行りということもあるかもしれませんが、確かに効果を発揮する手段であり、その会社の理念を象徴する存在であることも多いということでした。
しかし、デザイナーとしては可愛らしいイラストばかりでなくバシっとかっこいいデザインもたくさんあってほしいなぁと思わなくもないですが。
今後もスターマンが愛されるように頑張ろうと思いました。笑
出典・参考
http://news.mynavi.jp/articles/2013/08/05/krnk/
http://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/corporate/ad/40th/
http://www.sagawa-exp.co.jp/company/history.html
http://blog.esuteru.com/archives/8557851.html
http://www.sagawa-exp.co.jp/recruit/company/spirit.html