会社・オフィス・事務所の引っ越しの際、通常の業務に穴を開けないことを優先して考える人が多いのではないでしょうか?
でも、会社・オフィス・事務所の引っ越しは、片手間でできるほど簡単な仕事ではありません。
一流のプロスポーツ選手が試合に向けて準備をするように、万全の準備をする必要があります。
なぜなら、会社・オフィス・事務所の引っ越しは個人の引っ越しとは違って、移転の準備、関係官庁への書類の作成などの作業も多く、会社・オフィス・事務所移転の専門チームを選出する会社もあるほどの仕事だからです。
今回は、会社・オフィス・事務所の引っ越しのスケジュールの立て方について紹介します。
どんな仕事においても、重要なことは十分な時間を確保し、綿密にスケジュールを立てることにあります。
それは、会社・オフィス・事務所の引っ越しにおいても同じことなのです。
会社・オフィス・事務所の引っ越しは大変な仕事!?
断定的に言い切ってしまいますが、会社・オフィス・事務所の引っ越しは決して、簡単な仕事ではありません。
今回の記事のタイトルで述べたように「会社・オフィス・事務所の引っ越しを行うのなら6ヶ月前から重要」というのは「会社・オフィス・事務所の引っ越し業務は、頭で考える大変さと実際に行う大変さとでは、全く違う」ということをあなたに伝えたかったからです。
会社・オフォス・事務所の引っ越し作業は、やることがあり過ぎて「事前の段取りとスケジューリング」が成否の鍵を握ります。
どんな仕事も同じですが、あなたがどんなに高い能力を持っていても、豊富な経験があっても使える時間が限られていれば、その仕事のクオリティは落ちてしまいますよね?
これは会社・オフォス・事務所の引っ越しの仕事でも同じことです。
「事前の段取りとスケジューリング」が不十分であれば、たくさんの戻りの作業が発生する可能性があります。余計な時間、労力、そしてコストも発生するリスクが高くなります。
ましてや、会社・オフィス・事務所の引っ越しは、経営者や社員、不動産会社や引っ越し業者など、たくさんの会社と人を巻き込む一大プロジェクトです。ほんの少しのミスが大きな損失や損害につながってしまうリスクも含んでいます。
つまり、会社・オフォス・事務所の引っ越し業務は、通常の業務以上に「目に見えるコスト」も「目に見えないコスト」も含めて、最低でも6ヶ月前までには「事前の段取りとスケジューリング」を明確にしておく必要があるのです。
通常の会社の業務に影響せずに会社・オフィス・事務所の移転を行うために、余裕をもった6ヶ月前からのスケジュール作成の大まかな流れを紹介します。
全体像のスケジュールが分かれば今、自分たちがどの地点にいるのかを把握することができ、業務をいくらでも調整・改善することができますので通常の仕事以上に、仕事全体のスケジュールには注意を払っていきましょう。
この記事の内容
1.会社・オフィス・事務所の移転チーム選出する
まずは、業務をあなた1人で行うようにしないことが大切です。
それは、あなたがこれから行う会社・オフィス・事務所の移転の仕事に絶対の自信を持っていたとしてもです。
あなた一人で、会社の大切な仕事を抱え込まないでください。
なぜなら、もし、あなたが仕事がすごくできる人で、何でもできてしまうスーパー社員だったとしても、あなたは人間です。人間には常に、予期せぬ体調不良やトラブルが発生してしまう可能性があります。
もし、プロジェクトの途中であなたに「もしものこと」が起こってしまったらどうなってしまうでしょうか?
仕事の内容はすべて、あなたが把握していますので、あなたに聞かなければプロジェクトが前に進みません。
もし、あなたが体調を崩してしまったとしても、療養に専念することができず、あなたのベッドの横にある携帯電話がひっきりなしに鳴って、ベッドで寝ていてもパソコンを手放せない状態になってしまう可能性もあります。
こんな地獄のような体験は絶対にしたくありませんよね?
また、会社にとっても、あなたの体調不良により、プロジェクト全体が止まってしまうので、スケジュールの遅れによって、大きな損失を被ってしまう可能性があります。
だからこそ、あなたがどんなに仕事のできる人であっても、最低でも2人以上のチームを作って仕事を進める必要があるのです。
会社・オフィス・事務所の引っ越しのスタートは、あなたを含めた2人以上のチームを編成してスタートすることにあります。
2.現オフィスの解約予告期間を確認する
チームを編成したら、次に行うべきことは、現オフィスの契約内容を確認することです。
会社・オフィス・事務所を移転するためには、まずは現在入居しているオフィスの管理会社やオーナー等に対して、契約解除の意思表示(解約予告)をする必要があります。
解約予告とは?オフィスのオーナーまたは管理会社に対して、事前にオフィスの退去を通知することを解約予告といいます。オフィスの賃貸契約を解約したい希望日の6ヶ月前までに解約予告を行わなければならないケースが大半です。この解約に要する期間を解約予告期間といい、これは契約内容に応じて期間が異なりますので、入居時に交わした賃貸借契約書を必ず確認するようにしましょう。解約予告期間内に中途解約をすると解約日までの賃料を請求されるケースもあります。
解約予告期間を確認せずに新しいオフィスへの移転を決めてしまい、何か月間か二重に賃料を払わなくてはならないというトラブルも実際起こっていますので、十分に注意しましょう。
一般的に解約予告期間は
- 30坪以上のオフィスは6ヶ月前
- 10~30坪のオフィスは3ヶ月前
- 10坪以下のオフィスは2~3ヶ月前
とされていますが、必ずあなたの会社の契約書の原本を自分の目で確認するようにしましょう。
正式に解約予告の書類を提出したら、基本的には撤回できません。
多くの会社はGW(ゴールデンウィーク)を利用し、5月に移転先の新しいオフィスに移動する場合が多いのですが、解約予告期間が6ヶ月前の契約の場合、逆算して11月中には現在の貸主に対して解約の意思を伝えなければいけません。
例えば、下記のような大まかなスケジュールを作成して、動いていきましょう。
3.原状回復工事のスケジュールを確認する
すごく重要なことなので、もう一度言います。
オフィスの現状回復工事は契約期間内に行う必要があります。
現オフィスの規模にもよりますが、この工事にかかる期間はだいたい1ヶ月ぐらいです。5月に新しいオフィスに移転して、すぐに現オフィスも退去する場合だと1ヶ月前の4月から現オフィスの現状回復工事を始める必要があります。
解約予告の書類の提出が完了したら、物件探し、移転スケジュールの作成へと移ります。
4.会社移転の目的を明確にして、不動産会社に物件紹介を依頼する
次に、いくつかの不動産会社に問い合わせて、自社に適した良い物件を紹介してもらいましょう。
その際は、
- 社員が増えたのでオフィスを広くしたい
- 現在入居している建物の設備が不十分
- 現在の賃料が高いのでもっと家賃コストを抑えたオフィスを探している
など、不動産会社の担当者に自社の会社・オフィス・事務所移転の目的をはっきりと伝えましょう。
その上で、家賃、設備、駅からのアクセスなどの希望条件も具体的に伝え、物件紹介を依頼します。
繰り返しますが、自社の会社・オフィス・事務所移転の目的を明確に伝えることは、最も大事なことです。
なぜなら、不動産会社の担当者は物件やその物件の周辺状況については熟知していますが、あなたの会社の移転目的はまったく知りません。
ですので、移転目的や条件をあなたが明確にして、それを確実に伝えなければ、どんなに優秀な担当者であっても、どんな物件があなたの会社・オフィス・事務所移転に合うのか、まったく検討をつけることができません。
主に、
- 立地:交通インフラの充実度、地域のブランドイメージ
- 面積:現在の社員数に見合ったキャパシティかどうか
- 予算:イニシャルコスト、ランニングコスト
などを明確にして、具体的に不動産仲介会社の担当者に伝えていきましょう。
会社の移転目的の明確化については、下記の記事が参考になります。一度、読んでみてください。
関連記事のIDを正しく入力してください5.新オフィスを選び、契約を結ぶ
いい物件が見つかったら、その物件をしっかりと確認しに行きましょう。
まったく現場を見ないで移転先を決める人はあまりいないと思いますが、話で聞いているのと現場を自分の目で確認するのには雲泥の差があります。
社長や役員など意思決定権者、または社員の代表となる人物を巻き込んで、移転先のオフィスだけでなく周辺環境や駅からのアクセスなどを確認してもらいましょう。
そうやって、巻き込むべき人を巻き込み、十分に物件を検討した上で、新オフィスを決定していきましょう。
社内で新オフィスが決定したら、早めに不動産業者と契約書を交わすことを忘れてはなりません。人気の物件ほど他社が目をつけている場合もあるからです。不動産業者との口約束だけでなく、なんらかの形で物件を押さえたほうが安心です。
でも、あせって契約して後からトラブルにならないように、基本条件だけでなく特記事項や諸注意など細かな内容まで確認した上で、契約を結んでいきましょう。
6.内装工事発注~引っ越し、各関係官庁へ書類の準備(1~3ヶ月前)
移転前1~3ヶ月前にしておきたい移転準備としては
- 引っ越し工事工程表作成
- 新オフィス各種工事発注・管理
- 引越しの手配
- 各関係官庁への書類の準備
- 電話回線会社へ旧オフィスの電話回線撤去依頼・新オフィスの電話回線架設申し込み
- 郵便局へ転居届の提出
- 近隣への挨拶まわり
- 荷造り・梱包
があります。
この時期の移転準備のポイントは、できるだけ早い段階で引っ越し業者から見積もりを取っておいて、細かな打ち合わせをしておくことにあります。
なぜなら、引っ越し業者は引っ越し業務だけでなく、現オフィスで使わなくなった什器やOA機器の回収やリサイクルに対応してくれるだけでなく、移転するオフィスの空調工事や通信インフラの整備、ネットワーク配線工事からオフィスレイアウトに至るまで、移転に伴う様々な仕事をワンストップで引き受けてくれる場合があるからです。そのような引っ越し業者を味方につけておくと、あなたが複数の業者と個別に打ち合わせて業者間のスケジュール調整をしたり、プロジェクト全体を取りまとめる手間を大幅に減らすことができます。
引っ越し会社の業務内容、費用相場については下記の記事をぜひ、参考にしてください。
関連記事のIDを正しく入力してください7.引っ越しが終わっても残っている手続きの処理
引っ越しが終わっても、まだまだやることはあります。下記の仕事です。
- 各関係官庁への書類提出
- 旧オフィスの原状回復工事・明け渡し・廃棄処分
- 近隣へ移転の挨拶
特に注意をしていただきたいのが、各機関への書類提出です。
書類によって提出期限がバラバラなので、提出漏れが起こりやすいといわれています。
そこで、各官庁提出書類と提出期限を下記にまとめましたので抜けや漏れがないように、しっかりと対応していきましょう。
社会保険事務所
・適用事業所所在地・名称変更(訂正)届
期限:事実発生から5日以内
法務局
・本店移転登記申請書(本店移転)
期限:移転日から2週間以内
・支店移転登記申請書(支店移転)
期限:移転日から3週間以内
税務署
・事業年度、納税地、その他の変更異動届出書、本店移転登記申請書
期限:異動等後速やかに
・給与支払事業所等の開設・移転・廃止届出書
期限:移転日から1ケ月以内
都道府県税事務所
・事業開始等申告書
期限:事業開始日から10日以内
公共職業安定所
・事業主事業所各種変更届
期限:変更のあった日から10日以内
警察署
・車庫証明
期限:移転後必要に応じて
消防署
・防火管理者選任届
各関係官庁への書類提出は前もって伝えておけば行政書士や税理士などが代理で行ってくれますが、個人で行う場合は届け出の期限に注意しましょう。
まとめ
会社・オフィス・事務所移転のプロジェクトは一般家庭の引っ越しと比べるとはるかに作業量が多くなります。そして多くの場合が通常のオフィス業務と並行して行われるので、事前にどれだけスケジューリングできるかがプロジェクトの成否の鍵を握ります。
まずは多くの会社・オフィス・事務所に当てはまる、6か月前の契約解約予告を目安としましょう。そして、できるだけ余裕をもって移転チームを編成し、事前の準備を始めることをオススメします。
さらに細かなスケジューリングや段取りについては、下記の記事を読むと準備がはかどります。チェックリスト付きで整理しているので、こちらもぜひ読んでみてください。
関連記事のIDを正しく入力してください