引越しの際に意外と悩む事がエアコンの引越しです。
引越しの際は、エアコンも引越しするのか?それとも引越しを機に買い替えるか?どちらを選びますか?
いずれにしても出費がかさむことなので迷いますよね。
「まだ使えるし、もったいない。買い替えるとお金もかかるし、、、」と、取り外して持って行ったのはいいけれど「取り付けるのにけっこう高くついた、これなら買い替えたほうが安かった」なんてこともよくある話です。
あなたの引越しではどちらのほうがお得に安く済むのか、多くの現場を見てきた引越し屋がエアコンの大事なことを教えます。
この記事の内容
エアコンも引越しするのか、それとも買い替えるか?
引越し費用で決して安くないのがエアコンの移設に関する費用です。
基本的にエアコンの移設は専門知識とスキルを必要とするので、ほとんどの場合でプロに任せるようになります。エアコンのタイプや設置環境にもよりますが、平均すると15,000円~20,000円くらいは費用がかかってきます。
それでも買い替えるよりは安いよね?
いえいえ。じつはそんなに単純な話ではありません。というのも、、、
知っておくべきエアコンの基礎知識
エアコンには標準使用期間がある
電気用品安全法において、電気用品の技術上の基準を定める省令が改正され、長期使用製品安全表示制度が制定されました。2009年4月1日より「エアコン」は経年劣化に係る注意喚起のための表示が必要となり、2009年4月以降製造された製品には、製品本体及び取扱説明書に「製造年」、「設計上の標準使用期間」および注意喚起文が表示されています。
引用:日立ホームページより
エアコンの耐久年数は使用環境やエアコンの性能にもよりますが、おおよそ10年が目安です。
これを超えての使用は安全上のリスクがあると考えられ、「標準使用期間」というものが定められています。それ以降で故障が発生すると補修部品の供給が終了していて修理ができなくなる可能性も高くなります。なので10年を過ぎたエアコンであれば買い替えのタイミングと考えましょう。
エアコンは省エネ家電
「まだ使えるし、もったいない」
じつはこれ、技術進歩の早い現代では間違った認識で「使い続けることがもったいない」のです。
環境省の言葉を借りると「もったいないがもったいないのじゃ!」となるのですが、エアコンは定期的に買い替えたほうが環境にも私たちのお財布にもやさしいのです。
引越しで考えると、エアコンは老朽化すると移設時に部品の交換や追加の工事が必要になるなど、最初に見積もった移設費用よりも高くなってしまうことがあります。なぜなら引越し元、引越し先、使っているエアコンの状態などをすべて確認したうえでないと必要な作業がわからないからです。
それに旧型よりも新型のほうが省エネ性能が高いので電気代が安くなります。つまりイニシャルコストとランニングコストの両方を考えると買い替えてしまったほうがお財布にやさしい、となるのです。
どれくらい電気代が安くなるのか、簡単にシュミレーションしてくれる便利なサイトもあるので参考にしてみてください。下は環境省が運営している「しんきゅうさん」というウェブサイトです。いくつかの項目を入力するだけで新旧(しんきゅう)比較してくれます。
こちらをクリックすると環境省のウェブサイトへ移ります。
↓↓↓
環境省「しんきゅうさん」
いつ寿命を迎えるかわからないエアコンにお金をかけて移設するよりも予算を上乗せして新しい機種に買い替えてしまったほうが結局は安くなるということなんです。
じゃあ、何が何でも買い替えなければいけないの?
いえ。そういうわけではありません。移設にかかる費用との比較が大事なのです。
では次にエアコンの移設・引越しについて見ていきましょう。
エアコンを引越しするには?
上記は一般的なエアコンの図です。ざっくりいうと、エアコンは室内機、室外機とそれをつなぐ配管・配線で構成されています。そして、エアコンの引越し作業は大きく3つに分けられます。
- エアコンの取り外し
- 取り外したエアコンの移送
- エアコンの取り付け
このなかで費用が変動しがちなのが、「エアコンの取り付け」です。
エアコンの取り外し
通常、室内機は天井近くの壁に設置されているので移送させるには取り外す必要があります。
取り外したエアコンの移送
室外機は冷却用のコンプレッサーが内蔵されているので非常に重たいユニットです。中に冷媒となるフロンガスが蓄えられているので強い衝撃などでガス漏れを起こさないように慎重に移送する必要があります。
室内機は夏の使用時期には熱交換器部分やドレンホースに水が溜まっている場合があるので移送中や引越し先で水浸しにならないように処置しておく必要があります。
エアコンの取り付け
基本的な作業項目としては以下のようになります。
- 室内機の設置
- 室外機の設置(平地置き・ベランダ置き・既設平地架台上段設置など)
- 配管接続(冷媒管・内外接続線・ドレンホースなど)
- 真空引き(エアパージ)
- エアコン専用回路への接続
- アース端子への接続
このほかにエアコン用に想定された位置以外での取り付けには配管を通す穴を空けたり、場合によってはコンセントの新設や変換工事が必要になることもあります。
室外機の設置タイプによっては金具を追加したり、配管やドレンホースを延長したり、室内と室外の配管に化粧カバーをしたり、冷媒ガスを補充したり、業者側としても引越し先の設置環境で対応を決めるため費用が変動しやすいのです。
配管の交換は必要?
エアコンの取り付けにあたって十中八九、業者に勧められるのが配管(パイプ)の交換です。
フロンガス(冷媒)が通る配管は暖房や冷房で急激な温度変化を繰り返します。通常使用の範囲であれば極端な劣化はあまりないのですが、そのままの状態で移送できない場合は配管を「曲げたり伸ばしたり」することがあります。また、引越し先でエアコンを取り付ける際にも室内機や室外機の位置によって「曲げたり伸ばしたり」することがあります。
この「曲げたり伸ばしたり」をすると、温度変化を繰り返してきた配管は亀裂が生じやすくなるのです。もちろん、必ず亀裂が入るわけではないのですが、取り付け時には問題ないように見える配管でもその後の使用で急速に劣化する場合があるのです。
また、配管の長さが足りない場合、継ぎ足しをするとガス圧が集中しやすい継ぎ目からガス漏れを起こすリスクもあるため、業者としても最初から十分な長さの配管への交換を勧めるようになるのです。
希望すれば配管の再利用に応じてくれる業者もありますが、何かトラブルが発生した場合にはかえって高くつくことになるので慎重に考えるようにしましょう。
エアコンのクリーニングは必要?
エアコンの引越しと直接的な関係はありませんが、新しい環境で使う前にエアコンのクリーニングも考えたいところです。
エアコンは使わなくても埃がたまり、使えば汚れもたまります。クリーニングして埃や汚れを取り除くことで冷暖房効率が上がり、電気代の節約にもなります。
次のうち、どちらかが当てはまるようであればクリーニングしたうえで新生活をスタートさせましょう。
匂いが気になっていた
匂いの原因として、エアコン内部にカビ菌が付着していることが考えられます。
これでは健康面に悪影響を及ぼします。とくに小さなお子さんのいるご家庭では匂いが気になる前からクリーニングを行っていきたいですね。
結露の多い部屋で使っていた
結露の多い部屋で使っていた場合、エアコン内部の結露も考えられます。つまり、カビの発生しやすい環境だったということなので、やはりクリーニングを行っておきたいところです。
エアコンの作業は専門業者に頼む? それとも引越し業者?
じつは専門業者に頼んでも引越し業者に頼んでも、技術面や費用面で大差はありません。
というのも内部に専門職を抱える一部の大手を除き、ほとんどの引越し業者はエアコンの取り外しや取り付けを専門業者に依頼しているからです。
近場への引越しであれば地域の専門業者に直接頼めば引越し業者が受ける中間マージン分が安くなるので費用面のメリットが得られるかもしれませんが、それ以外であれば引越し業者に任せるメリットのほうが多くなります。
引越し業者に頼むメリット
不具合発生時に窓口を一本化できる
ありがちなトラブルが取り付けたエアコンが故障したなどの不具合です。
もし、自分でエアコン専門業者を手配して、移送は引越し業者に頼んで、というケースでエアコンが故障した場合、取り外しや取り付けに問題があったのか、移送中にダメージを受けたのが原因か、責任の所在を巡って対応に時間がかかることも。話が進まずにイライラが募るのも決して他人事と考えてはいけません。
引越し業者に頼んだ場合は、実際に作業したのがエアコン専門業者であっても、あくまで作業の責任と窓口は引越し業者になります。もしあなたの引越しで不具合が発生してもスムーズに対応してもらえれば安心ですよね。
スケジュール管理をしてもらえる
夏場や冬場の引越しなど、エアコンを使う時期ほど、引越しとエアコン移設のタイミングを合わせたいですよね。
引越し業者に頼んだ場合はエアコン移設のスケジュールまで任せてしまえるので自分でそれぞれに連絡を取ったり調整する必要がありません。
支払いにクレジットカードを使える
地域のエアコン専門業者を手配すると、現地での現金精算が一般的です。引越し業者であればカード決済の端末を用意していて引越し料金と一緒にクレジットカードで支払えるところも増えてきました。ポイントをためていたり、持ち合わせがないときには助かりますよね。
もしエアコンの買い替えるとしたら
できるだけ安く買って、今のエアコンを処分します。
エアコンを安く買うには?
エアコンは季節商品で夏場は値段が高く、10月頃から値段が下がる傾向があります。
なので、安い時期に買っておくというのも手です。また新型が出る直前には在庫処分で現行モデルの値段が下がることも考えられます。一世代の違いであれば省エネ性能が大きく変わることもないのでモデルの切り替え時期も頭に入れておきたいところです。
逆説的に、エアコンが安くなる時期に引っ越すのでエアコンも買い替えてしまおうという考えもあります。
今まで使っていたエアコンを処分するには?
買い取り業者に引き取ってもらう
目安として有名メーカーの製品で、製造5年以内、状態が良好であれば買い取ってもらえる場合があります。単にお金をかけて処分するのと買い取ってもらうのとでは大きな違いがあります。条件が揃っていればぜひ相談してみましょう。
購入店に引き取ってもらう
今のエアコンを購入したお店や今回買い替えをするお店など購入店に引き取ってもらいます。新しく買うお店であれば購入条件としておまけも期待できるかもしれません。
そのまま置いていく
「エアコンをそのまま置いていけば次に入居する人も買わなくて済むし、大家さんや管理会社にとっても入居者を集めやすくなるので喜ばれるんじゃないの?」
賃貸住宅の場合、そう思う人もいるのですが、じつは貸主側はこれを敬遠します。というのも、次の入居者にとって既に取り付けられているエアコンは賃貸物件の設備になるので、もし壊れた場合には貸主に修理する義務が発生するからです。だから、「原状回復」が基本となり、良かれと思って勝手に置いていくことはできないのです。
「まだ新しいし、もったいないよ」
そう思うのであれば、貸主の了解のもとでそのまま置いていける場合もあるので一度相談してみるのもいいかもしれません。
自分で処分する
自分で取り外して処分場へ持ち込んでリサイクル料金を払って処分することもできなくはありません。でも安全な取り外しには専門知識とスキルを必要とするのでプロに任せたほうが安心です。
自分で取り外せるという方はお住いの自治体や処分場に問い合わせると処分の流れを詳しく教えてもらえます。
まとめ
エアコンも引越したほうがいいのか? それとも引越しを機に買い替えるか?
とても悩ましいところですが、年数の経ったエアコンを引越すのは思ったより高くつくので、買い替えの見積もりを取って見てイニシャルコストとランニングコストの両方で考えてみてはいかがでしょうか。