オフィス移転は、備品の調達費用や工事費用など、さまざまな費用がかかります。そのため、引越しコストを削減したいと考える方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、価格だけで判断すると思わぬトラブルを招いてしまうかもしれません。今回は、オフィス移転の見積りで失敗しないための比較ポイントを紹介します。
この記事の内容
オフィス移転にかかる費用の目安
オフィス移転にかかる費用は、会社の規模が大きいほど多くかかります。規模の大きな会社なら数百万円から数千万円かかることもあるでしょう。
主に従業員数・オフィスの面積・内装デザインなどによって差が出ます。従業員が多ければ、デスクやチェアなども多いため、オフィス移転にかかる費用も高くなるでしょう。内装デザインも凝った内容なら、工事費用がかさみます。
まずは、何のためにオフィス移転をするのか、目的を明確にしておきましょう。その上でコンセプトを検討し、各項目に分けて費用を計算することが大切です。
コンセプトの決め方についてはこちらの記事をご覧ください。
オフィス移転にかかる見積りの内訳
オフィス移転にかかる費用は大きく分けて4種類です。それでは、それぞれの費用の目安を見ていきましょう。
新オフィスにかかる費用
新オフィスの賃貸借契約を締結し、オフィスとして使えるようにする際にかかる費用の内訳は表のとおりです。
敷金 | 大規模オフィス:賃料6~12ヶ月分 小規模オフィス:賃料4~6ヶ月分 |
礼金 | 賃料1~2ヶ月分 |
仲介手数料 | 賃料1ヶ月分 |
保証委託金 | 賃料1ヶ月分 |
火災保険料 | 2年分で2~3万円程度 |
前家賃 | 1~2ヶ月分 |
内装工事費用 | 1坪あたり5~20万円程度 |
ネットワーク工事費用 | 1坪あたり5~15万円程度 |
什器等の購入費用 | 従業員1人あたり5~30万円程度 |
保証委託金は保証会社を利用する場合にかかる費用です。前家賃は最初の1~2ヶ月分の家賃を契約時に前払いするもので、物件によってはないこともあります。内装工事費用はデザインによる差が大きいです。
旧オフィスにかかる費用
旧オフィスに関して、以下の表のような費用がかかります。
原状回復工事費用 | 大規模オフィス:1坪あたり10~15万円 小規模オフィス:1坪あたり3~8万円 |
賃料 | 契約解除日まで3~6ヶ月分 |
原状回復工事というのは、内装などを撤去して入居時と同じ状態にする工事のことです。賃貸オフィスでは、退去時に原状回復義務があるため、原状回復工事を行わなければなりません。
敷金がある物件の場合には、敷金と相殺されるため足りない分を支払うことになります。賃料は契約解除日までの分です。移転が済んだ後でも、契約解除日までは賃料が発生します。
引越しにかかる費用
オフィスの引越しでは次の表のような費用がかかります。
運搬費 | 従業員1人あたり2~5万円程度 |
不用品・廃棄物処分料 | 2トン車1台分:7~8万円 4トン車1台分:10~15万円 |
運搬費は、従業員の人数に比例する傾向にあります。ただし、時期による差も大きく、年度末や秋口などは、引越しが増える時期であるため、高くなりがちです。
また、搬出・搬入する備品の種類や経路などによって料金が高くなることもあります。古くなった設備や備品などを廃棄する際には、不用品・廃棄物処分料も軽視できません。
その他費用
そのほかの費用として次の表のような費用もかかります。
届出書類の作成費用 | 10~25万円程度 |
広告・告知の印刷物 | 従業員1人あたり1~3万円程度 |
ID・セキュリティカードの作成 | 従業員1人あたり1~2万円程度 |
届出書類というのは、会社の所在地変更に伴って税務署や年金事務所、法務局などへ提出する書類です。社内で行うのが難しい場合は、行政書士などの専門家に依頼します。
広告・告知の印刷物は、オフィス移転したことを取引先などに知らせるためのチラシです。セキュリティカードなども、新しいものを作らなければなりません。
【オフィス移転】予定日の4ヶ月前には見積りをしましょう
オフィス移転は家の引越しと違い、作業内容が広範囲に渡ります。見積りを複数の業者へ依頼する場合、時間がかかることも想定しておきましょう。効率よく引越しを進めるために、遅くともオフィス移転予定の4ヶ月前に見積りを依頼することが大切です。
オフィス移転にともなう粗大ごみは、自治体で回収してもらえません。産業廃棄物処理には、マニュフェストという書類が必要です。
マニュフェストとは、産業廃棄物などの処理を行う業者が、粗大ごみ等の自治体で回収できないごみを適正に処理しているかを把握するための細かい管理表のことです。この様式は廃棄物処理法施行規則第8条で決められています。
マニュフェストの作成には時間が必要なため、不用品処理を行いたい場合は、2~3カ月前を目安に進めましょう。また、不法投棄を防ぐためにも、必ず一般廃棄物収取運搬業の許可を受けている業者に依頼してください。
相見積もりの落とし穴4選|失敗するとどうなる?
複数の引越し業者に相見積もりを取り、比較しながら選ぶと費用を抑えられます。しかし、相見積もりを取って決めただけでは安心できません。
この項目では、相見積もりを取る際に注意すべき点を解説します。
見積りに必要な作業が含まれていなかった
見積りの価格だけで業者を決めてしまうと、思わぬトラブルや追加コストがかかることがあります。そのため、見積り時の「作業一式」がどの範囲までかを確認しましょう。
移転に必要な作業は、オフィス家具の搬入・搬出だけではありません。
- 新オフィスでのレイアウトの策定
- 内装工事
- 電気やネットワークなどの配線工事
- 不用品の処分
なども必要です。どこまでを依頼したいか、また引越し業者へどこまで依頼できるのかを確かめておきましょう。
搬入・搬出制限で予定どおりに作業が進まなかった
オフィスビルの場合、エレベーターの使用を制限される場合や、営業時間での作業を断られる場合があります。休日は費用が高く設定されることが多く、作業に人手や時間がかかることで追加費用が発生することもあるため、事前に建物側の指示を確認しておきましょう。
運搬したい什器の解体・組み立てに対応してもらえなかった
複合機や金庫などの大型の什器や解体の必要な荷物は、条件により専門スタッフやクレーン車が必要な場合があります。旧オフィスだけではなく、移転先の確認が必要になる可能性もあります。
業者に対応してもらえなかったということがないように、搬入経路等を事前に把握し、トラブルを避けるためにも、見積り時に対応可能かどうか一緒に確認しておきましょう。
指示内容がフロアごとで統一できていなかった
広いオフィスへの移転を行うとき、フロアごとに社内の担当者を割り振ることがあるでしょう。このとき、事前に担当者同士で打ち合わせを行い、スムーズに移転作業が行えるよう連携することが重要です。
綿密なすり合わせができていない場合、担当者ごとに業者への指示が異なり、見積りとの差が生まれる可能性も考えられます。
図面や配置図を共有したうえで、移転先のレイアウトの事前準備を行うことをおすすめします。また、従業員向けに移転マニュアルを作成し、移転の目的について共通認識を持っておくことも重要です。
オフィス移転時の見積もりでチェックするポイント
オフィス移転の見積りをチェックする際には、金額だけに目が行きがちです。しかし、金額のほかに、作業範囲や補償内容も良く目を通しておかなければなりません。では、それぞれのチェックポイントについて見ていきましょう。
作業範囲
見積り金額だけを比較するのではなく、見積り内でどこまで作業してくれるのか、必ず確認してください。必要な作業に引越し業者が対応していなければ、別途コストが掛かることもあるかもしれません。
反対に、不必要な作業が含まれていた場合は、無駄な出費となりますので合わせて確認しておきましょう。
「作業一式」だけで済まさずに、作業範囲が詳細に書かれている業者は、しっかりと計画されているので比較する際の目安にしてください。
補償内容
移転時に荷物の破損や紛失などのトラブルがおきた場合の補償内容も確認が必要です。業者側の過失であれば、補償してもらうことができます。
どこまでが補償対象か、いくらまで補償されるのか、見積り時に確認しておきましょう。補償が足りなかったら、別途移転時に保険への加入を検討すると良いでしょう。
サポートやフォロー体制
上述したトラブルが発生した際にも対応してくれるかどうか、サポートやフォロー体制の確認をしておきましょう。
これまでの引越しの実績などを確認し、
- 予定どおりに進まないときに一緒に解決策を考えてくれるか
- 移転後にトラブルがあった際にも対処してくれるか
などをチェックすると良いです。
オフィス移転は、予定どおりに進まないだけでなく、移転後に電話がつながらないなどの思いがけないトラブルがつきものなので、アフターフォローの内容も確かめておくことをおすすめします。
オフィス移転で見積もりを安くする方法
見積りにかかわるポイントについて解説します。オフィス移転のコストをなるべく抑えたい方は、以下の裏技をためしてみてください。
旧オフィスに近い移転先を選ぶ
移転先までの距離は、見積りに大きく影響するポイントです。距離が長くなるほど料金は高くなるため、コストを抑えたい方は旧オフィスに近い移転先を選びましょう。
正確な距離を測定することで、実際の費用とギャップが生じにくくなります。移転先までの正確な距離を計測するなら、Googleマップなどの地図サービスを使うと簡単にリサーチできます。
搬出・搬入がしやすい物件を選ぶ
搬出元や搬入先が上階にある場合やエレベーターの有無によって、人員の数が変わります。人員の数が変われば、当然見積りにも影響を与えます。
エレベーターやドアの大きさ、階段やエレベーターからオフィスまでの距離なども、業者にしっかり伝えましょう。作業人数が減れば見積りも安くできるため、搬出、搬入しやすい物件を選ぶことがポイントです。
運搬する荷物を少なくする
移転先に運ぶ家具や什器の数や量も、トラックの大きさが変わるので見積りのポイントになります。運搬するダンボールの大きさと数も見積りに必要です。
ただし、重要な書類は社内で運ぶことが基本なので、運搬用の段ボールを見積もる際は、機密書類の分は含めずに伝えましょう。
オフィス移転コストの削減を考えることは大切ですが、追加料金がかかったり必要な作業が含まれていなかったりすると、余分な労力がかかってしまいます。
コストを抑えた最適なオフィス移転をお考えなら、スター引越しセンターにお任せください。オフィス移転に欠かせないレイアウト変更や内容工事、不用品の処分などにも対応しており、格安で充実したサービスを提供いたします。
まとめ
オフィス移転の見積りを依頼するときは、作業内容や補償内容、サポートやフォロー体制の把握が大切です。コストを抑えたい方は、移転先を旧オフィスの近くにしたり、搬出や搬入がしやすい物件を選んだりすると良いでしょう。
とはいえ、オフィス移転で必要な作業が含まれていないと追加費用がかかる可能性があります。スター引越しセンターでは、オフィス移転に必要な作業すべてに対応しておりますので、ぜひ一度ご相談ください。