オフィス・事務所移転は、会社にとって重大な決定です。
では、会社で働く社員にとってはどうでしょうか?
オフィス・事務所移転は、会社で働く社員にとっても重大な決定です。
なぜなら、通勤時間、通勤方法が変わってくる可能性があるからです。また、働くオフィス・事務所環境も変わり、それが日々の仕事の生産性に直結します。
ですので、オフィス・事務所移転をする際には、従業員にオフィス・事務所移転の目的を伝えるだけでなく、メリットとデメリットも事前にしっかりと伝え、しっかりとコミュニケーションを取る必要があります。
もちろん、社員ひとりひとりの意見を聞いていたらキリがないですが、最初に出てくるであろう社員の不満や不安をあらかじめ予測しておくことで、解決策を事前に準備することができます。
つまり、オフィス・事務所移転に伴う社員の不満や不安に対応するためには事前に、どんなことが問題になるのか知っておく必要があるのです。
そこで、今回はオフィス・事務所移転によって、社員から出てくる「よくある不満とその解決策」を3つ紹介したいと思います。
この記事の内容
オフィス・事務所移転によって、社員から出るよくある不満①:通勤時間が長くなった
オフィス事務所移転の際には、何よりも社員の通勤時間を考慮することが重要なポイントです。
表面上、交通アクセスが良くても通勤時間が長くなれば、社員の不満は出てしまいます。
例えば、こんな社員を想像してみてください。
都内にオフィスを構える、中堅どころの事務用品メーカーで勤続10年目。33歳の田中恵(仮称)さんは、一児の母親でもある。
彼女の仕事は営業事務。人一倍の頑張り屋で仕事のスピードも早く、営業担当者や商品開発、経理担当者と部署を横断しての仕事を任されています。経営者はもちろん、周りの社員からの人望も厚く、会社に無くてはならない存在となっています。
6年前に大手商社で働く旦那と結婚し、3年前に元気な男の子を出産しました。産休後、すぐに職場復帰し、子育てをしながら仕事を続けています。
そんな田中恵さんの朝はまさに戦争状態。朝4時半に起きて、まずは予約タイマーで洗い上がっている洗濯ものを干す。つぎに旦那と自分の弁当を作りながら朝食の支度。6時に起きてくる旦那と子どもと一緒に朝ごはんを食べて、それから子どもの着替えを済まして、持ち物を準備し、今度は自分の番。7時には家を出て、少し遠いけどやっとのことで入れた保育園に子どもを送ってから会社に出勤しています。
保育園へのお迎えがあるので18時には会社を出なければ間に合わない。(前に、電車が遅れてお迎えが遅くなり、保育園から注意されたことがあったよね、、、) だから仕事が残っていても残業は絶対にできない。そうなるとミスをしないように神経を集中し、仕事中は一瞬たりとも気を抜くことはできません。実際に、彼女の働きに助けられている社員も大勢いるので、、、。
お迎えの帰りにスーパーに立ち寄り、お買い物。子どもには申し訳ないと思いながらも、どうしても晩ご飯を食べるのは20時近くになってしまう。慌てて食べて、子どもをお風呂に入れて、寝かしつけるのは、だいたい22時頃。
その頃には旦那が帰ってくるけど、旦那だって疲れているので家事は頼めない。(自分でやったほうが早いし、確実だよね、、、)
食器を洗って、つぎは洗濯の準備。洗濯機がやってくれると言っても、元気な男の子はいつも泥だらけで遊んでくる。ちゃんと洗剤につけ置いて、揉んでおかないと汚れがしっかり落ちない。我が子には汚れの残った服装で保育園に行かせることなんて絶対にしたくない。
それが終わったら、連絡帳に目を通して保育園での様子を確認したり、園便りを読んだり。
仕事と家庭の両立はホント大変。まだまだやることはあるけど、寝ないと体がもたない。(ああ、もう24時。そろそろ寝なくちゃ、、、)
そんな田中恵さんの通勤時間が30分伸びてしまったら、つまり往復で1時間余計にかかるとなると、どうなるでしょうか?
「・・・・」
大変ですよね?
不満の出ない通勤時間として、よく言われる理想の通勤時間は家を出てから約30分ほどですが実際は、1時間〜1時間半ぐらいの通勤時間の社員が多いと思います。
でも、全員社員寮に住んでいるなどの条件でない限り、通勤時間を平均化することは難しい仕事です。
そのため、まずは、なるべく会社から遠いところに自宅がある人の意見を取り入れるなどして、平均の通勤時間を下げることによって、全員の希望に近づけることのできる可能性が高くなります。
逆に、賃料が安いことを理由に駅から遠い場所にオフィスにしたり、駅からオフィスへの通勤経路が人混みでごった返していて、通勤しづらかったりするような場所も不満が出てしまいます。
もちろん、社員全員の意見を取り入れるのは不可能に近いですが、どうしても通勤時間が長くなるのが避けられない場合は、
- なぜ、現在の場所から移転しなければいけないのか?
- オフィス・事務所を移転することによるメリットは何か?
- 今後の経営計画
などをしっかりと社員に伝えることで、社員も納得しやすくなります。
オフィス・事務所移転によって社員から出るよくある不満②:利便性が悪くなった
社員のモチベーション維持には、周辺環境の利便性も重要です。
ランチができるお店の選択肢が多い、コンビニの有無、銀行などが近くにあると社員にとってはかなり嬉しいことです。
また、帰りに寄りやすいレストランや居酒屋などのお店があれば、社員のコミュニケーションの活性化にも繋がることも考えられます。
病院などが近くにあると社員も安心できるでしょう。
女性社員にとっては周辺の治安も気になるところです。
帰宅が遅くなることが多い仕事の場合は、オフィスの周辺や通勤路が安心して通える立地かどうかにも気を配りましょう。
利便性に関わる施設
昼休みに行きたくなるところ
- 飲食店
- コンビニ
- お弁当屋さん
- カフェ
- 郵便局
会社の備品を買いに行けるところ
- 薬局
- 雑貨屋
- スーパー
体調が悪くなった時
- 内科
- 歯科医院
- 耳鼻科
- 産婦人科
このように、周辺環境の利便性や通勤路の環境もオフィス移転に考えるべき重要なポイントといえます。
オフィス・事務所移転によって社員から出るよくある不満③:レイアウトが使いづらい
オフィス・事務所移転の決定権は、経営者側にあることがほとんどです。
でも、実際のオフィスを使う社員に意見を聞かずにレイアウトを決定しまうと、使いづらいレイアウトになってしまい仕事の効率にも影響が出てきます。
会社の中で仕事をするのは主に、従業員ですよね?
ですので、経営者側にいる自分自身ではなく、従業員の立場に立って、従業員が働きやすいオフィス・レイアウトを考えていきましょう。
使い辛いレイアウトとして例えば、後ろの席の人との距離が近いことや導線が狭いと移動時に不便になったりします。
また、休憩スペースがないオフィスの場合、休憩していても気が休まらず、社員の疲労が取れなくなってしまいます。
このようにオフィス・レイアウトが良くないと仕事の効率が落ち、仕事のスピード感も落ちるため、レイアウトの設計はとても重要なポイントになります。
オフィス・レイアウトを決めるための参考サイト
オフィスレイアウトの決め方は、コクヨが運営する働く環境がテーマのオウンドメディア「WORKSIGHT」が参考になります。
オフィス・レイアウトは働くシーンをイメージして決めていきましょう。
例えば、仕事中でもプライベートな空間が持てるようにしたり、OA機器を設置するための場所を確保したり、休憩スペースや女性用の化粧室を設けたりすることで、社員の生産性も上がることが期待できます。
そのため、オフォス・レイアウトを決定する際には経営者側の意見だけではなく、社員の意見も取り入れるようにしましょう。
男女両方の社員がいるなら、両者の意見を聞くことも大切です。
また、社員と一緒にオフィスのレイアウトを決めることで、コミュニケーションや連帯感も向上するのではないでしょうか?
コミュニケーションが向上する空間であれば、仕事の効率化と社員間の交流が深まることに繋がるので、良い影響が期待できます。
まとめ
今回は、オフィス・事務所移転の際に出やすい「社員の不満とその解決策」をご紹介しました。
社員全員の意見を取り入れることは不可能に近いですが、意見を出し合うことによって連帯感が生まれます。
連帯感が生まれることで、成果が上がることも多々あります。
また、不満が出た場合でも経営陣が新しくオフィスに移転するべきメリットを説明すれば、社員も納得しやすくなるのではないでしょうか?
よく「戦略を立てることと戦略を実行に移すことは別もの」と言われます。
ですので、会社の戦略を実行する社員のために「戦略を実行に移しやすい=働きやすい」オフィス環境を社員とコミュニケーションを取りながら、決めていきましょう。
机上で計画を練ることも大事ですが、基本は社員と活発にコミュニケーションすることで、自分たちだけでは気づかなかった課題やチャンスを見つけることができるはずです。
オフィス・事務所移転をきっかけにして、もっと社員とコミュニケーションをとっていきましょう。