結論から言います。
引越し会社を選ぶときは相見積もりを取りましょう。そして、作業内容と金額を比較したうえで自分に合った引越し会社を選ぶのが基本です。
でも、相見積もりといっても、どの引越し会社から取ればいいのか、、、引越し会社もいろいろあってホント迷いますよね?
そこで、まず最初に考えたいポイントは引越し会社は大手のほうがいいのか、それとも中小規模の会社のほうがいいのか、ということです。
なぜなら大手の引越し会社と中小規模の会社ではお客様に提供するサービス価値にそもそも違いがあるからです。そして見積もりを正しく比較するのには、同じようなサービス価値を提供する会社同士のほうが比べやすくなります。
たとえばクルマを買うときにクラウンとワゴンRでどちらがいいか、なんて比べたりしませんよね?
排気量もボディサイズも大きく違うし、それぞれの使用目的やユーザーメリットが大きく異なるからです。クラウンならフーガと比べたり、ワゴンRならタントと比べたほうが良し悪しがよくわかりますよね。
それと同じで、まずはあなたの引越しに合うのは大手なのか、それとも中小規模の会社なのか、それぞれのメリットとデメリットを考えてから相見積もりを取るようにしましょう。
引越し会社大手とは?
引越し会社大手とは、その名の通り、業界内でも規模の大きな事業者のことです。
現在、市場規模が約4000億円とされる引越し業界で大手と言われている会社は6つあります。(年間売上が100億円以上を目安)
年間売上が800億円超のサカイ引越センターを筆頭に、636億円のアートコーポレーション、そこからグッと差が開いて年間売上が300億円規模の全国引越専門共同組合連合会(いわゆるハトのマークの引越センター)、アリさんマークの引越社が273億円(平成25年度グループ総売上 企業HPより)が続きます。これらが引越し専業会社の4社です。
それと引越し専業ではありませんが、このなかに日本通運とヤマトホームコンビニエンスの2社が加わります。これら専業と兼業の6社が市場規模の半分以上の売上を占める、引越し会社大手と呼ばれています。
参考:サカイ引越センターHP IR資料(2018年3月)
http://www.hikkoshi-sakai.co.jp/ir/pdf/briefnote/20180501-1.pdf
参考:アートコーポレーションHP (2017年9月期)
https://www.the0123.com/company/gyoseki.html
参考:物流ニッポン 記事「引越専連合会/前期、売上高300億円突破 9年ぶり全体レベル向上で」より
http://logistics.jp/media/2018/05/03/2460
参考:アリさんマークの引越社 HPより
http://www.2626.co.jp/information/
引越し会社大手の特徴
引越し会社大手の特徴としては、
- 拠点数が多い
- 知名度が高い
- 社員教育を徹底
などが挙げられます。
パンダやアリといった自社のイメージキャラクターを使ったり、人気タレントを起用して企業のブランディングしたり、テレビなどのマスメディアを使い全国に宣伝活動をするので知名度は抜群に高くなります。
また徹底した社員教育を行うことで常にサービス品質の向上に取り組んでいます。たとえば、サカイ引越センターでは本社をはじめ、湘南、越谷、沼津など複数の拠点に研修棟を建てて社員研修を行っています。その研修棟も一見、ふつうの住宅に見えるのですが、じつは作業スタッフの技術向上を図るためにあえて過酷な条件で設計しているそうです。
引越し会社大手を選ぶ5つのメリット
では、引越し会社大手を選ぶメリットとデメリットを具体的に挙げていきます。
大手を選ぶメリットは大きく分けて5つあります。
- サービス品質が高く、均一化されている
- 実績と経験が豊富
- 万が一の補償が手厚い
- オプションサービスが豊富
- すべての作業をワンストップで対応できる
1. 均一化された高いサービス品質
日ごろから接客マナーや技術の習得など徹底した社員教育を行うところが多いのでサービス品質が高く、均一化されています。つまり、営業支店や作業スタッフによる当たり外れが少なく、どこでも一定のクオリティの引越しサービスを受けられる安心感があります。
2. 実績と経験が豊富
引越し会社大手のほとんどが創業してから数十年という歴史を持っています。その分だけ実績と経験も豊富にあると考えれば、安心して作業を任せられるのではないでしょうか。
3. 万が一の補償が手厚い
自己又は使用人その他運送のために使用した者が、荷物の荷造り、受取、引渡し、保管又は運送に関し注意を怠らなかったことを証明しない限り、荷物その他のものの滅失、き損又は遅延につき損害賠償の責任を負い、速やかに賠償します
引用:標準引越運送約款より http://www.mlit.go.jp/common/001220018.pdf
じつは引越し作業中や荷物の運送中に、引越し会社の作業スタッフが依頼主の「家財・家屋・人身」に損害を与えた場合は「標準引越運送約款」により「補償」することが定められています。
でも補償額は引越し会社によって違い、この補償内容がしっかりしているのが大手です。安さを売りにしている引越し会社では万が一のときに十分な補償を受けられない可能性もあります。なので補償内容について明確に示さない引越し会社は避けたほうがいいでしょう。
4. オプションサービスが豊富
エアコンの取り外し・取り付けやハウスクリーニングといった基本的なオプションのほかにも、ピアノのような特殊な荷物の取り扱いやマイカーの陸送、荷物の一時保管など、さまざまなオプションを用意しているのも引越し会社大手の特徴です。最近では一人暮らしの女性向けに盗聴器や盗撮機の調査サービス、耐震グッズの販売や取付などのオプションに人気が集まっています。
5. すべての作業をワンストップで対応できる
不用品の処分やリサイクル買い取りまで、引越しの関連するすべてのサービスをワンストップで対応してもらえるのも利用者にとっては大きく手間を減らせる大事なポイントになります。
引越し会社大手に頼む1つのデメリット
1. 料金が高い
最大、そして唯一のデメリットは料金が高くなる傾向があることです。
大手の強みである抜群の知名度や徹底した社員教育がもたらす質の高いサービス、これらを維持するには多くのコストを必要とします。また、ここ数年で経営上の深刻な問題となった作業員不足を解消するための採用活動もコストが急騰しています。それらのコストも料金で回収しなければいけません。
中小規模の引越し会社とは?
サカイ引越センターやスタームービングのような引越し専業会社、日本通運やクロネコヤマトのような引越しもやっている運送会社、赤帽のような引越しもやっている貨物軽自動車運送会社など、全国には約3000の引越し会社があると言われています。
その多くは中小規模の引越し会社になるのですが、大手ほどの規模はないけれど地域に根付いたサービスでどこよりも安い引越しを実現してくれる可能性があります。
じつはあなたの知らないだけで、こんな近くに引越し会社があったんだ、あの会社は引越しもやってるんだ、なんて場合もあったりします。今ではインターネットの普及により引越会社の比較サイトや一括見積もり請求サービスなどで、あなたに合った中小規模の引越し会社も見つけやすくなってきましたね。
中小規模の引越し会社を選ぶ3つのメリット
中小規模の引越し会社を選ぶメリットは3つ、
- 価格が安い
- 専門性や特化した強みがある
- 対応に柔軟性がある
会社によっては、大手に負けない専門性やスキルを持っていたり、特定地域での作業にすごく強かったり、独自の強みを持っている会社も多くあります。じつに多くの会社があってさまざまなのですが、ここでは中小規模の一般的なメリットを説明します。
1. 価格が安い
引越し会社大手に比べて有名人を起用したり、テレビCMを流すなどの高コストな集客活動を行わないません。(正確には、行えない、、) その分を価格に転嫁する必要がないので価格が安くなる傾向があります。ブランドで指名される大手と違って競合も多くなるので条件交渉にも応じてくれやすく、なかには驚くほどの格安条件を引き出せる場合もあります。
2. 専門性や特化した強みがある
たとえば単身のビジネスマンの急な引越しに強いとか、一人暮らしの女性向け引越サービスが専門だとか、特定のお客様層に強い引越し会社もあります。
そのような専門性、特化型の引越し会社の場合、大手以上のきめ細かいサービス設定やオプションを用意している場合があります。すべてのお客様を満足させるというよりも、この属性のお客様サービスだったら絶対どこにも負けない、といった姿勢ですね。経営者の信念や価値観が作業現場に浸透しやすいのも中小のメリットといえます。
3. 対応に柔軟性がある
大手に比べて知名度で劣る分、中小規模の引越し会社の最大の課題は顧客獲得。無理を聞いてくれたり柔軟な対応でお客様の満足度を上げようと頑張る傾向があります。場合によっては、引越し予定日ギリギリでもスケジュール調整してもらえて助かったりと価格以上のメリットがある場合も多いです。
中小規模の引越し会社を選ぶ2つのデメリット
反対にデメリットは、
- サービス品質にバラつきがある
- 自分でもよく調べる必要がある
1. サービス品質にバラつきがある
引越し会社大手ほどの教育コストをかけない(かけられない)ので作業スタッフの当たり外れがあったり、引越し会社によってサービス品質がバラつく傾向があります。
訪問見積もりに訪れた営業担当者の接客マナーなどで社員教育のレベルが分かることも多いです。説明がわかりやすいか、疑問点に丁寧に答えてくれるか、などをチェックしましょう。もし、強引に即決を迫ってきたり、無理にダンボールを置いていこうとするような引越し会社は避けたほうがいいでしょう。
2. 自分でもよく調べる必要がある
知らない引越し会社であれば自分でもよく調べる必要があります。
引越し会社の比較サイトや一括見積もり請求サービスを使えば簡単に情報収集できて便利な反面、公平性を欠いた情報を提供していたり、特定の引越し会社へ誘導するサイトもあるので注意しなければいけません。
自分で調べるときのチェックポイントとして、
- その引越し会社の営業年数はどのくらいか?(長年営業しているのであれば顧客に支持されていると考えられます)
- 万が一の補償内容は納得のできるものか?(高額品など荷物によって十分な補償内容か確認しましょう)
- ダンボールなどの基本的な梱包資材を無料で用意してくれるのか?(格安引越しで頼んだのに、梱包資材が有料だった、ではあまり意味がありません。基本的な梱包資材は無料か、トータルで格安か、よく確認しましょう)
- 基本的な養生はしてもらえるのか?(格安ゆえに養生なしで荷物を運び出す会社もあります)
この辺りを確認しておくと安心して安い料金でも中小規模の引越し会社に任せることができます。
まとめ
引越し会社は大手がいいのか、それとも中小規模の会社がいいのか?
それはあなたの引越しの優先順位によって判断しましょう。安心を重視するのであればブランドが確立されている大手、予算を重視して自分に合った引越し会社を探すのであれば中小規模の会社。
いずれにしろ、提供するサービス価値が同じレベルで相見積もりを取るのがおススメです。