320時間。
これって何の時間だか、わかりますか?
じつはこれ、平均的なオフィス移転で必要とされる、移転プロジェクトの担当者が費やす時間だそうです。
ものすごい時間ですよね?
この記事の内容
ハードワークに陥りがちな担当者
平均的なオフィス移転には、移転担当者一人あたり約320時間という膨大な時間と労力が必要と言われています。移転先のビル探しから始まり、オフィスの計画、予算の設定、スケジュールの調整etc・・・そうです、オフィスの移転は大変な作業なんです。なので少しでも早く移転サービスを提供している業者に相談するのが吉。最低でも2ヶ月前には頼む業者を決めなければ満足のいく移転にすることは難しいでしょう。
文具やオフィス家具などの製造・販売大手であるKOKUYO(コクヨ)によると、移転担当者が移転プロジェクトに費やす時間は約320時間。1日に2時間を移転プロジェクトに費やしたとしても160日、週休2日制の会社であれば8ヶ月もかかる計算です。
ということは、もしプロジェクトを4ヶ月で完了させるには1日4時間もあなたの労力を費やさなければいけません。2ヶ月なら1日8時間。もう、ほとんどかかりっきりですね。
もちろん、あなたの会社の規模やあなたが担当者としてどの範囲までプロジェクトに関わるかによってもかかる時間数は違うでしょう。
でもどこの会社にも共通している事実があります。それは、移転プロジェクトが担当者の専従業務ではないということです。
おそらくあなたも本来の業務と並行して移転プロジェクトを進めるのではないでしょうか?
そうであればプロジェクトに入る前にしっかりと下準備をしないと日々の残業はもちろんのこと、休日を返上してまでプロジェクトに追われることになってしまいます。つまり、オフィス移転が完了するまで相当なハードワークを強いられることになるのです。
そうならないためにも、あなたの労力を減らして、プロジェクトを時短化する3つのポイントをアドバイスします。
プロジェクトを時短化する3つのポイント
じつはあなたの労力を減らして、プロジェクトを時短化するポイントはたったの3つ。
それは、、、
- オフィス移転に必要な作業を知る
- 社内でやる作業とやらない作業に分ける
- 社内でやらない作業を専門業者に依頼する
これだけです。
「なんだよ。そんなこと当たり前じゃん!」
ひょっとすると、あなたはそう思われたかもしれません。でも、この当たり前のことを意識して、無駄をなくさないと320時間どころか、もっと時間と労力がかかってしまいます。
あなたに無限の時間があるのでもない限り、最短ルートでオフィス移転を目指しましょう。
では詳しく説明します。
オフィス移転に必要な作業を知る
オフィス移転とは単にA地点からB地点へ什器を移動させることではありません。生産性を上げる目的でオフィス機能を移すために、さまざまなタスクが同時に進行する複雑なプロジェクトです。
会社の規模が大きくなったり社員の数が多くなればなるほど什器やOA機器の搬出・搬入量も増え、部署間の連携や調整が必要になります。
なので、まずはあなたのオフィス移転にはどのような作業が必要になるのかを知ることから始めます。(そのためにも、できるだけ早いタイミングで専門業者を味方につけましょう)
オフィス移転の作業区分は大きく3つに分かれ、
- 現オフィスの退去
- 移転先オフィスの開設
- 現オフィスから移転先オフィスまでの引越し
になります。
これらを上手く段取り、結びつけるのが担当者の腕の見せどころです。
では、さらに詳しく見ていきます。
現オフィスの退去
解約予告
賃貸のオフィスビルでは6ヶ月前までに解約予告を必要とする場合が多いので、賃貸借契約書でオフィスの解約予告期間を早めに確認します。
オフィス移転の完了は現オフィスの明け渡しがひとつの目安です。いつ解約するのか、いつ解約できるのかは移転スケジュールを組むときの重要なポイントです。
原状回復工事
原則として、それまで使っていたオフィスは借りたときの状態に戻して明け渡す必要があります。(ほとんどの場合、賃貸借契約で借主側が退去日までに原状回復をして返却することが決められています)
たとえば「原状に復した上で、本件建物を明け渡す」 「躯体に関するものを除く、壁、天井、床等に対する修理は借主が負担する」など、どのような状態で貸主に返すべきなのかが具体的に賃貸借契約書に明記されています。明け渡しの条件を必ず確認した上で現状回復工事の見積もりを取ります。
移転先オフィスの開設
デザインレイアウト
繰り返しますが、オフィスを移転する最大の目的は生産性の向上です。
そのためには、どのように社員動線を確保するのか、什器やOA機器の配置はどうするのかなどレイアウトをしっかりと設計する必要があります。
ここ数年はオフィスの「見せる化」を進めている企業も増えています。企業イメージをオフィスで表現して顧客や取引先との信頼関係を深めたり、新卒や中途採用の場で働く環境の良さをアピールしたり、いろいろな役割が求められるようになりました。
社内のアイデアだけでなく、プロの知識と経験は大いに参考にする価値があります。
内装工事
デザインレイアウトが決まれば内装工事に取りかかります。
一般的なオフィスの場合、業務用の空調設備を利用することになりますが、フロアの広さによって設置するエアコンの種類が異なるので事前に確認しておきます。
また、物件やオフィスの構造、デザインレイアウトと設置する什器の位置によって電源位置や配線の取り回しを決めていきます。
什器購入
できるだけコストを抑えてオフィスを移転させたい、そのためには使える什器は再利用したいもの、、、あなたの気持ちはわかります。(什器を大事に使う、モノ持ちのよさは大いに誇れるところです)
でも再利用が移転先オフィスの生産性を低下させるようであれば、思い切って什器を新調することも検討しましょう。
大事なことなので何度も繰り返しますが、オフィス移転の最大の目的は生産性の向上ですよね?
インフラ整備
インフラ整備はオフィス機能に欠かせない重要な作業のひとつです。
顧客、取引先、社内など、すべてのコミュニケーションにおいて電話、FAX、インターネットといった通信インフラは不可欠です。引越し時には停止せざるを得ませんが、引越し後はすぐ復旧するように段取っておく必要があります。
ちなみに、インフラ整備とは主に電話配線工事やLAN配線工事のことを指しますが、業者によっては電気工事もインフラ整備に含めている場合もあるので注意してください。
現オフィスから移転先オフィスまでの引越し
引越し
現オフィスからの搬出と移転先オフィスへの搬入準備が整ったら引越し開始です。
什器などの廃棄
移転先オフィスに合わせて什器などを新調すれば、現オフィスで使っていたものを処分する必要があります。
ただし、什器によっては廃棄ルールや手順が自治体ごとに異なります。もし品目が多岐に渡ったり数が多いようであれば、専門業者に任せたほうが安心です。
なぜなら、自分で品目ごとに処理方法を調べるのも非常に時間がかかるからです。それに単なるゴミ出しと違って廃棄物の処理には資格が必要なので、無資格で不適切な処理をすれば企業の責任問題にもなってきます。時間をかけて、責任問題では目も当てられませんよね。
また、再利用できそうな什器などはリサイクルショップに相談すると無料で引き取ってもらえたり、買い取ってもらえる場合もあります。(少しでも値段がつけば移転費用の足しになりますね)
社内でやる作業とやらない作業に分ける
次に社内でやる作業とやらない作業に分けます。
ひと通り、あなたのオフィス移転に必要な作業がわかったら、そこから社内でやる作業とやらない作業に分けていきます。
でも、気をつけたいのが社内でやる作業の中身。
「専門知識のいらない単純作業だから什器の移動は自分たちでやって費用を抑えよう」なんて、大型什器の移動まで張り切り過ぎて疲れてしまい、その後の仕事に影響が出るようでは困ります。
なかには、移転先のエレベーターが狭くて大型什器を階段で運ぶハメになった、、、なんてケースもあります。そういうのはホント、プロでもしんどいんですよ。。
また、手を滑らせて高価な什器を壊してしまったり、壁やフロアを傷つけてしまったり、、、プロは大型什器やOA機器などの精密機械の扱いにも慣れています。それも、業者内でも知識と経験が豊富なベテランを当てがって万全の体制を取るところが多いです。思い切って任せてしまうのも社内の時間と労力をセーブする方法です。
ちなみに、ほとんどの移転業者は『運送業者貨物賠償責任保険』という保険に加入しています。だから不慮の事故の際には損害を賠償してもらえます。プロと言っても人間ですし、移送中に事故をもらうなどの可能性もゼロではありませんので。。
安さをウリにしている業者は保険加入の有無を確認したほうがいいです。万が一のときにすごく揉めますから。それと補償対象外のケースもあるのでどこからどこまでが補償対象で補償対象外なのか、しっかりと確認してください。
当然ながら、安く上げるために自分たちで作業して壊してしまった場合は保険適用外です。
社内でやらない作業を専門業者に依頼する
専門業者に任せる作業を決めたら見積もり内容と金額を詰めていきます。
この段階ではすでに業者から見積もりを取っていると思いますが、念のため。移転プロジェクトの早い段階から見積もりは取ってください。
見積もりを取るときの注意点は2つ。
- 複数の業者に見積もり依頼すること。
- 作業項目が具体的で詳しく記載されているかどうか
あなたにオフィス移転の知識がなくても、複数の業者の見積もりを比較することで業者の良し悪しや見積もり内容と金額の適正を判断することができます。
ちなみに「良い見積もり」とは、移転プロジェクト担当者であるあなたにとってわかりやすい見積もりのことです。あなたはその見積もりをもとに、プロジェクトを起案したり、プロジェクトを予算化するんですよね? 担当者が理解していないと社内を動かすことはできません。
たとえ金額が安くても、具体性に欠け、担当者が内容を理解できないような見積もりを出す業者は避けたほうが無難です。わかったつもりでプロジェクトを進めていき、後から作業が追加されたり、見積もり金額が上がってしまい、社内で厳しい立場になるのはあなたです。
提示されている見積もりが、正当な理由なく大幅に値引きされる場合も要注意です。見積もり金額の多くは作業員の人件費です。極端に安くなる見積もりはどこかに無理やしわ寄せが発生します。
安すぎても高すぎてもダメ。大事なのは作業に対して適正かどうかです。
まとめ
もしあなたがオフィス移転プロジェクトの担当者になって、プロジェクトに費やす労力と負担を減らし、時短化したいのであれば次の3つのポイントを抑えてください。
- オフィス移転に必要な作業を知る
- 社内でやる作業とやらない作業に分ける
- 社内でやらない作業を専門業者に依頼する
これがあなたのオフィス移転を最短ルートで成功に導くポイントです。