オフィス移転では、新オフィスのレイアウトを考えるのが後回しになる事が多いですが、この記事のタイトルの通り、オフィスのレイアウトはとても大切です。
と言うのも会社はレイアウトしだいで社員の動きが大きく変わり、生産性も違ってくるからです。
今回はオフィス移転で知っておくべき、レイアウトの設計に欠かせない8つのポイントを紹介します。
この記事の内容
オフィスのレイアウトを設計する
オフィスレイアウトを設計するには、まず全体のゾーニングから始めます。
ゾーニングとは、社員の執務スペースやミーティングルーム、会議室や休憩室など、個々の面積と位置を決める作業のことです。
そのゾーニングで押さえるポイントは、「一般的な執務」「保管・収納」「OA機器を設置する」「社内のミーティングルーム」「応接室」「エントランス」「パブリックスペース」「通路・動線」がレイアウトの設計に欠かせないポイントになります。
レイアウトに欠かせないポイント①:一般的な執務
まず最初のポイントは、オフィス機能における基本中の基本ともいうべきもので、社員が事務作業などのデスクワークをしたり、顧客や取引先と電話応対したりするスペースです。
一般的にオフィスの最小単位は個々のデスクスペースになるのですが、オフィスレイアウトはこのデスクスペースを算出することから始まります。
執務するデスクを選ぶときにも、ただ社員人数分を並べるだけというわけにもいきません。
たとえば営業と事務職では在席時間も働き方も違います。職種によって必要となる作業ツールやスペースは違うので機能面を考えてデスクを選びます。
一般的には幅1000〜1400mm、奥行きで600〜800mmが求められる寸法です。これに加えて社員が動くスペースが必要となります。デスクのレイアウトにより多少の変更はあるものの、これが個々のオフィススペースの基本面積となります。
急成長企業や組織編成を頻繁に行うなど、社員の流動性が高い職場では全員の要求に応えて、それを維持し続けるのは非常に難しくなります。オフィス移転の目的とどのような職種の社員が使うオフィスなのかを考えて基本的なレイアウトを作っていきます。
レイアウトに欠かせないポイント②:保管・収納
書類や事務用品、消耗品などの保管・収納機能です。
あなたのオフィスはどれくらいペーパーレス化が進んでいますか?
ペーパーレス化は紙と印刷コスト、それに膨大増えた書類の中から必要なものを探しだす手間という人的コストを減らすメリットがあります。
しかし紙でないと閲覧しづらかったり、印刷量を減らすことで印刷単価が上がってしまうデメリットもあり、まだまだペーパーレスが進まないオフィスも多いようです。つまり、書類を保管・収納する十分なスペースはまだまだ必要になるということ。
事務用品もボールペンやハサミ、ホチキスなど使用頻度の高い文房具は別にして、ガムテープやラベルライターなど普段あまり使わないものやプリンター、FAX機器の印刷用紙にインクトナーなどの消耗品も普段は目のつかないところに保管していますよね? こちらも必要なスペースを確保しておきます。
見落としがちなのが保管・収納庫の開閉スペースです。開け閉めしづらかったり、開けた扉にぶつかってケガなどしないよう、余裕を持った配置をします。
収納機能は地味ながら生産性の向上に欠かせないポイントです。それについて、面白い記事があるので紹介します。
個人の机の上は書類が山積み、引出しの中、下には仕掛書類や業務に使用するファイルが雑然と置かれ事務用品や私物が膨大に置かれているとい う状況をときどき目にすることがある。このような状況では、事務の生産性向上は望むことができない。
個人机の5S を実施することで、決められたル ールをきちんと守る1人ひとりの意識を変えることができる。個人机の上、引出しの中には何を置くのかを明確にした「個人机の管理基準」を作成し、机の引き出しの中には、事務用品、私物、参考書類のみを置くことにする。
レイアウトに欠かせないポイント③:OA機器
コピー機、出力プリンター、FAX機も執務に欠かせません。以前は別々に設置してスペースを大きく占有しがちでしたが、近年では複合機の使用が主流になっています。
使用頻度に応じてどの社員もアクセスしやすい位置と、集まった社員で混雑して業務効率を落とさないように余裕を持ったスペースを考えます。
また、インターネット環境にサーバーの設置スペースやサーバールームが存在感を増すようになってきました。将来的な企業活動を見据えてスペースを考えておいたほうがいいかもしれません。
機能的なオフィス配線とは?
言うまでもなく、今やオフィス機能にインターネットは欠かせません。一人につき一台、職種によっては一人で複数のパソコンを使って仕事をするのが当たり前の時代になりました。でも、そうなるとLANやサーバーなどのネットワークも複雑になってきます。そこで多くの企業が課題としているのは煩雑になる配線処理、つまりケーブリングです。
あちこちに張り巡らされたケーブリングは見た目の悪さだけでなく、通信速度の低下などインターネット環境のパフォーマンスを落とすことにつながります。なので、もし、これからオフィスをレイアウトするのであれば、ケーブリングを見直すにも絶好のタイミングになります。
デスク単位でケーブリングを見直し
もし、オフィスがすでにできあがっているのであればデスク単位でケーブリングを見直すという方法もあります。オフィス全体ではなく、小さな単位で見直すだけでも不満点が大きく改善される場合もあるので試してみてください。
たとえばノートパソコンの使用頻度が高い部署では、LANケーブルや電源ケーブルの取り回しを変えて抜き差しをしやすくするだけでも作業効率が上がります。いちいちデスクの下に潜ったり、デスクの隙間から手を伸ばて慎重にケーブルを引っ張らなくても良くなれば、快適に仕事ができますよね?
LANケーブルの見直し
オフィスで使われるケーブルは大きく2つに分けられます。一つは電気を供給する電源線、もう一つはネットワークを構築する情報線のLANケーブルです。そのうち、オフィスのケーブリングで特に注意したいのは、LANケーブルの取扱いです。
ネットワークの基本となるLANケーブルは、とてもデリケート。他のケーブルとの配線距離や曲げる角度によって、通信速度が低下するばかりか、通信エラーを招くこともあります。LANケーブルの基礎知識を知り、正しいケーブリングを実施しましょう。
LANケーブル敷設の3つのポイント
複数のLANケーブルを並行させない
複数のケーブルを敷設する場合、長い距離にわたって並行すると通信エラーを起こす原因となるので気をつけましょう。
余長ケーブルは同径の円で巻かない
余長ケーブルを円状に巻いて処理する場合、同直径で幾重にも巻くと並行敷設と同様になり、通信エラーを起こすことがあるので注意が必要です。
折り曲げに注意
LANケーブルは損傷しやすいため、曲げずにできるだけ真っ直ぐに敷設します。どうしても曲げる場合は緩やかな角度で曲げたほうがケーブルの損傷を避けることができます。
レイアウトに欠かせないポイント④:社内のミーティングルーム
ちょっとした打ち合わせから定例会議まで、業務を進めていくうえで報告・連絡・相談といった社内コミュニケーションは欠かせません。具体的な業務や組織編成によってスペースの数と面積を決めていきます。
たとえば社内の打ち合わせが多いような営業と営業事務や、営業部とデザイン部であればミーティングルームを隣接させることでコミュニケーションが取りやすくなったり、素早い打ち合わせができるなどのメリットを作れます。
社員全員で月に一回程度、定例会議を行うのであれば複数のミーティングルームが間仕切りを外すだけで大人数を収容できる会議室に早変わりするレイアウトのほうがオフィス面積に対する稼働率を向上させることになります。
レイアウトに欠かせないポイント⑤:応接室
応接室や商談ブースなど、オフィス機能には来客に対してのスペースも求められます。
来客といっても顧客だけとは限りません。取引先、金融機関、採用面接者などすべての関係者に対応できる必要があります。
来客対応のスペースは受付の近くにするなど、オフィスの入り口に設置すれば来客者の誘導をスムーズに行えたり、来客者の行動範囲を受付付近に限定できるのでセキュリティも高まります。(来客者の動線はプライバシーマークの取得においても重要なポイントになっています)
レイアウトに欠かせないポイント⑥:エントランス
エントランスや受付ブースはオフィスの「見せる化」の役割があります。
取引先や金融機関の信用を得るためであったり、新卒採用や中途採用など人材を集めるための手段として力を入れる企業も増えてきました。
レイアウトに欠かせないポイント⑦:パブリックスペース
更衣室、ロッカールーム、食堂、休憩室などはパブリックスペースに同じく、人材の確保という面で重要な役割があります。というのも、オフィス環境の良し悪しで離職率も大きく変わってくるからです。
レイアウトするうえで水回りの処理には限界がありますが、トイレ機能はほぼすべての女性社員が強く意識するところ。もし、今だに男女共用トイレなど使っているところがあれば、間違いなく女性社員の離職率を高めています。
業種や職種、企業規模により更衣室、ロッカールーム、食堂、休憩室などすべてを設置するのが難しい場合でも、優先順位をつけて対応していきましょう。社員に対してできる限りの配慮をしたほうが、離職者を増やして採用活動にコストをかけるよりもはるかに安くついたり、社員のパフォーマンスが上がり業績もアップするといったメリットがあります。
レイアウトに欠かせないポイント⑧:通路・動線
最後にもってきましたが、じつはゾーニングが決まったら次に決めなければいけないのは通路の幅と言われるほど重要なポイントです。というのも、適正な通路幅を確保してこそ、執務スペースや収納庫といったそれぞれのエリアが活きてくるからです。
実際に通路幅が狭かったり、必要な動線が確保されていないと社員同士や社員と什器、OA機器などの接触が起こりやすくなり、ケガや什器の破損といった事故を起こす可能性が増えます。とくに繁忙期など、「目の回る忙しさに慌てた社員同士がゴチンとぶつかり、お互いが骨折するほどの大ケガを負って業務に支障が出た」なんてことも実際に起こっています。ましてや、オフィスを移転する理由の多くは社員が増えて現在のオフィスが手狭になったからということですよね。
社員が頻繁に行き交う通路(メイン動線)とそれほどでもない通路(サブ動線)で使用面積を上手く配分することもレイアウトを作るポイントです。オフィスレイアウトには基準となる通路幅があるので、オフィスレイアウトの専門家の意見を聞いたほうがいいでしょう。
まとめ
オフィス移転で一番時間のかかる作業、そして一番時間をかけるべき作業はオフィスのレイアウトを決めることです。
レイアウトしだいで社員の動きが大きく変わり、生産性も違ってきます。
ぜひ、あなたのオフィスレイアウトの参考にしてみてください。